2019年1月18日金曜日

オールドスクール柔術ってなによ

モダン柔術がドラクエ3のアレフガルドなら、オールドスクールが表の世界である。
昔はオールドスクールしかなかった。でもみんなパスがうまくなりすぎて誰もパスさせてくれなくなったので、モダン柔術が生まれた。そんなことが「中井祐樹の新バイタル柔術」には書いてある。

ではオールドスクールとはなにか。

まあこれはパスガードして抑え込んで極める柔術だろう。

現時点ではクラシカルな感もするデラヒーバガードも、リバースデラヒーバもかつてはなかった。たぶんスパイダーとかも発達してなくて、ハーフガードの攻防もない。

パスガードする。クローズドガードに閉じ込めて攻める。

そういう攻防が今よりずっと多かったのではないだろうか。そもそも引き込みってなんだ。自分から下に行くという駆け引きもほんとうの初期にはなかったんじゃないかと思う。倒して、パスして、抑えて、極める。そういう競い合いだったのだろう。

で、ガードポジションが増えて、パスガードの技術も進化した。

でも「足を超える」というパスガードの基本が崩れることはなかった。それがオールドスクールなのだろう。

僕はリアルタイムで体験してないので噂で聞く程度だけど、ベリンボロが出た頃はたいそう衝撃的だったらしい。

それはおそらく、それまでみんなが散々苦労してきた「足を超える」という前提を、ごっそりひっくり返してしまったからじゃないかと思う。

そう思うと、昔と今とでは技の数が全然違う。
たぶん今、青帯の僕でさえ知っている技の数だけでいえば20年前の茶帯とか黒帯とかとそんなに変わらないんじゃないかって気がしてくる。使えるかどうかはともかくとして。

いま、その世代の人達はレジェンド世代みたいになってるけど、今も残ってる人たちはみんな強いよね。最新の技もちゃんと知っている。それはおそらく、クラシカルがモダンのベースにあるからだろう。

最新のモダンをやるには、やはりクラシカルの素養が役立つ。根本的な柔術力となるんじゃないか。

という仮説を拠り所に、今日もクラシカルな技の練習に励む。

ってかモダンな技ぜんぜんできないんだもの。いまはまだ。

2019年1月16日水曜日

ざっくりモダン柔術ってこんな感じですか

おっさん柔術家の頭を悩ますもの。

それはモダン柔術。
青帯と言えば、ようやっとスパイダーやらデラヒーバやらオープンガード系を覚えて、ぼちぼち使い始める頃合いだと思う。何か得意技が見つかって、それを武器に勝ち上がれるようになれば、まあ青も卒業って感じなんだろう。

そんなよちよち歩きのおっさん柔術家の天敵が、モダン柔術である。
若もんがくるくる回る。いつの間にかにバックを取られる。どこからどうするとそのポジションにいけるの? とスパーのたびに混乱である。

そんなおっさん柔術家であるが、やはり目に物を見せてやりたい。この少子高齢化社会でお荷物扱いされないためにも若モンたちに「おっさん、やべえ」と思わせたい。

すると当然、モダン柔術の対策を練らなくてはいけない。

対策を練るからには、まずそれについて知らなければならない。

ということでスパーでくらった技をあれこれ調べてみたら、ようはだいたい次の技を駆使する柔術をモダン柔術というらしい、ということがわかる。

・ベリンボロ
・レッグドラッグ
・ツイスターフック
・50/50

人によっては普通のパスガードとか全然練習しないで、これだけで勝ち進める人もいるという。

こうやって要素を抽出できたら、これらの技の組み合わせで主だったテクニックは成立しているのだろうと推測できる。

ベリンボロなら「ベリンボロがそのまま成功」「ベリンボロからレッグドラッグへ変化」「ベリンボロからツイスターフックへ変化」「ベリンボロから50/50に変化」といった感じだ。この要領で一通り組み合わせを洗い出し、その中から現実的なものを抽出すれば、なんとなくモダン柔術の輪郭みたいなものがみえてくるんじゃないかと思う。

こうしてみると、モダン柔術というのは、ドラクエ3でいうところのアレフガルドのような感じがする。

表の世界をあらかた制覇すると現れる裏の世界。
マップは表の世界より小さめ。でも強敵がうじゃうじゃいる。

仰向けの相手の足をどう乗り越えるか。それがパスガードであり、表の柔術。クラシカル柔術。
一方のモダン柔術、裏の柔術は足を乗り越えず脇をすり抜けてバックを狙う。

ってかもう何回バック取られたかわからないよ。なんとかベリンボロ止めても、レッグドラックとか50/50とかですぐ上を取られちゃうのだもの。

でもまあ、やられるたびにちょっとずつデータが蓄積した。ちまちま練習して、考えて、くるくる回れるおっさんになろう。



2019年1月3日木曜日

立ち技は2☓2

BJJの試合は立って向かい合ったところから始める。
スパーはジムによって座って始めるところと、立って始めるところがあるらしい。同じジムでも最初からトップとボトムを決めてスパーを始めるところがあるようだ。これらはどうも人口密度的な事情のようだ。比較的スペースを広く使えるところは立ってはじめて、手狭なところは座って、あるいは片方が座って始める。まあ立ち技をどの程度重視するか、という指導者の方針にもよるのだろう。

柔術の練習はもっぱら寝技が主になるけど、試合もスパーも立って始める。
最初にまずまごつくのが、開始直後の展開だ。

そもそもどうしたら良いのか分からない。何をどう掴んだらいいのか、足を使ったら良いのか。先輩の様子をみてもいきなり座ったり、引き込んだり。引き込みにしてもテイクダウンにしてもいろいろあるうえ、それぞれどんな意味があるのか分からない。

その点、やはり「中井祐樹の新バイタル柔術」はよくしたもので、「テイクダウン」と「引き込み」の2系統にざっくり分けてくれている。

要は相手を倒すか、自分から下になるか、という2択になるのだと。

言われてみると当たり前のことだけど、こう断言してもらえると頭の中がかなり整理しやるくなる。

で、引き込みはその後の展開とセットになるので、自分が仕掛けようと思っているガードポジションによって、引き込み方も変化する。よって使えるガードポジションが増えれば引き込み方も増えるし、偶発的な引き込みでもそこから手持ちのガードポジションに変化しやすくなる。

ただテイクダウンに関しては、ずいぶん選択の幅が限られる気がする。
なぜなら柔道を子どもの頃からやってました、という例でもない限り腰に背負投系の技は身につかない。練習に長大な年月を要するうえ、おっさんになってから始めた身としては練習中に怪我のリスクも高い。さらに距離を取られたり襟を取られたりすると簡単に封じられてしまうという弱点もある。その割に柔術的には2ポイントにしかならない。ただ開始しょっぱなに2ポイントを奪えるのは点数以上に精神的な効果がでかい。5分なら5分を最初から優位に進められるからだ。また立ち技の練習によって、容易に投げられなくなるという面もある。だから柔術における投げ技のメリット、デメリットを整理するとこんな感じになる。

◯メリット
・最初の2点をとれる可能性が高まる。
・最初の2点によって精神的な優位に立てる。
・投げ技の練習によって、投げ技への耐性が身につく。

◯デメリット
・習得に手間と時間がかかる。
・めっちゃ疲れる。
・練習中に怪我をする可能性が高い。
・2点しか取れない。
・頑張って習得しても簡単に封じられる。

こう比較するとデメリットのほうがでかいのが一目瞭然である。
特に大人になってから柔術を始める場合、時間も体力も限られている。投げ技に使う分の労力を、寝技に費やした方が安全に少ないコストで勝てるようになるはずだ。
そう考えて寝技の練習時間がどんどん増えていく。それは合理的な選択と言える。

ただゲーム理論を導入するとちょっと事情が変わってくる。
大多数が合理的な選択をするのなら、その大多数の裏をかく戦略が効果的ということになる。7割の人がパーを出してくると分かってるなら、チョキを出す練習をしておけば7割の確率で勝てる。そういう発想だ。

その意味ではやはり立ち技を強化した方がいい。

でも背負い投げなど柔道ライクな投げ技は難易度が高いわりに効果が低いため、自然とレスリング式のタックルが有効なことになる。吉田沙保里ばりの無拍子タックルは無理だとしても、そこそこタックルっぽい攻撃ならちょっと練習すれば誰でもできるようになる。これをカードとして持っているだけも、立ち技からの選択肢が大きく広がる。なぜならテイクダウンという大きなカードが手に入るからだ。

中井祐樹の新バイタル柔術」にある通り、立ち技はテイクダウンと引き込みの2系統に分岐する。引き込み一辺倒だった人にテイクダウンが加われば、選択肢はざっくり4倍になる。なぜならそれまでは「いきなり引き込み」しかカードが無かったのに対し、「いきなりテイクダウン」「引き込みにみせてテイクダウン」「テイクダウンにみせて引き込み」という3つのカードが加わるからだ。

すると相手は4倍、展開を読みにくくなる。つまり4倍優位にゲームの序盤を制することができる。

かなりざっくりとした計算だけど、立ち技で「テイクダウン」と「引き込み」の両方を持っておいた方がいいのは間違いない。

投げ技をのぞいてもテイクダウンにはいろいろとある。
タックルもいいし、アームドラッグやダッグアンダーでバックをとっても良い。または踵をとってアンクルピックでも良い。あと忘れてはいけないのは、必ずしも倒す必要はない、ということ。IBJJFルールでは相手が四つん這いの体勢になればボトムになったとみなされる。相手の奥襟を掴んで引き倒し、パーテルポジションで固定したままキープすれば、それでテイクダウンの2点が入る。

そう考えると投げ技抜きでもいろいろできることはある。いろいろスパーで試して、なんだかしっくり来るものを磨き上げよう。





クラッチをやめた

40過ぎて柔術を始める。 特に柔道やレスリングのような組技系の経験はない。 素人のおっさんである。 青帯をもらったとはいえ、先輩方の壁は高く、後から入る若者に力負けする。 やっぱりレスリングや柔道のベースがある人は強い。みるみるうちに上達して、あっという間に歯が立た...