40過ぎて柔術を始める。
特に柔道やレスリングのような組技系の経験はない。
素人のおっさんである。
青帯をもらったとはいえ、先輩方の壁は高く、後から入る若者に力負けする。
やっぱりレスリングや柔道のベースがある人は強い。みるみるうちに上達して、あっという間に歯が立たなくなる。
40過ぎて柔術始める普通のおっさんは、若者たちの会話にもついていけず、最先端のテクニックもからきしわからなくて、てんてこ舞いするばかり。困り果てていても、「年上だから」という遠慮があるからか、救いの手を差し伸べてくれる人もいない。
こんなおっさんは実験台やウォームアップの相手としてちょうどよいのだろう。
帯上の人や若者たちにこてんぱんにやられっぱなし。気づけば5分のスパーのうち、4分以上クラッチして腕十字をディフェンスしてるだけ、なんてこともざらだ。
こんなので強くなっているのだろうか。
ある人は言う。最初はこてんぱんにやられていても、だんだん落ち着いて攻撃を防げるようになってくるし、そのうち反撃の機会が分かるようになってくる。
…それっていつよ。
もう4年近くやってるんだけど。
僕に限ってはその言葉は当てはまらないらしい。だからもうクラッチしないことにした。4年かかってクラッチはめっぽう強くなった。そんじゃそこらの黒帯でも簡単には切れない。でもそもそもそこまで追い込まれた時点で負けだよね。
そもそもパスされたらもう8割がた勝負ついてんじゃん。パスした相手はポジションとって、極めてブイブイ言わせるだけ。その間、こちとら打ち込み人形。それでも頑張ってエスケープするのが大事って言うけど、それって相手にとって「暴れてエスケープする相手を抑え込んで、極める」練習になるだけで、こっちにとってはたいした練習になってないんじゃないの。
という理由で、クラッチをやめた。で、パスされたらバタバタ逃げるのもやめた。エスケープの技を試しつつ、だめならさっさと極められてタップする。相手に悪いんじゃないかとか、考えるのもやめた。自分の練習が優先だ。
で、スパーもやめた。
完全にやめたわけではないけど、かなり減らした。たくさんやればいい練習になるんじゃないかと思ったし、それはそれで良い経験になったけど、今の僕には練習効果が低い。体力作って汗かいて、ダイエットになるかも知れないけど、それだけ。
かといって技の打ち込みをやるにも、誰かに相手をお願いするのも気が引ける。あれこれ指示出さないといけないし、うまく噛み合わないと気まずくなるし。
そんなこんなで、一人打ち込みをやることにした。
わかったのは、スパーでうまくできない技は、一人でやってもうまくいかないということ。それがわかったのは大きい。だから知っている技、気になっていた技、できそうでできなかった技などなど、一人打ち込みで練り上げる。そうすると、案外できないものだ。
だからできるようにする。対人打ち込みやスパーみたいに、相手に気兼ねすることもない。好きなだけできる。
まあ、右も左も分からないところから、自分一人で課題を見出して修正できるようになったのだ。それだけ成長したのだと思おう。
2019年6月10日月曜日
2019年3月26日火曜日
短足のためのスパイダーガード
スパイダーガード。
ジムでも手足の長い白帯に先生や先輩が「君、スパイダーガード向いてると思うよ」なんてアドバイスするのを聞いたことがあると思う。
相手の腕をキックして距離を取るスパイダーガード。
しっかり足を当てられるとなかなか厄介で、外してパスするのは大変だ。
このスパイダーガード、上記のようなアドバイスがしばしば聞かれることから、短足な私は苦手意識をもっていたのだけど、どうも短足のためのスパイダーガードがある気がしてきた。
もう一種のスパイダーガードとしてまず頭に浮かぶのが、おそらくラッソーガードだろう。足を相手の腕に巻き付けるようにして固定し、スイープする。
ただスパイダーガードよりセットアップが難しいし、スイープできなければ相手を止めるだけで終わってしまう。
そのスパイダーガードに至る手前のステップが、意外にスパイダーガードとして効果的だ。
ラッソーほど巻くわけではなく、外踝をちょっと相手の肘や手首に乗せるような感じ。
上腕二頭筋に足裏を当てる通常のスパイダーが相手を蹴り放すのに対し、外側から肘上に足をちょこんと乗っける外掛けスパイダーは、足の重さで相手を崩すのに適している気がする。
実際にやってみるとなかなか使い勝手が良いし、外掛けスパイダーで十分崩してからラッソーに入った方がスイープもしやすい。何より短足の強みである足の重みを活かすことができる。
ガードの上達は次の3ステップであるように思う。
1.止める。まずはガードでパスする相手を止められるようにする。展開によっては他のガードに移行したとしても、積極的に練習中のガードを使い、相手のアタックを止める。
2.プレッシャーをかける。そこそこ止められるようになってきたら、相手へのプレッシャーを意識する。具体的には前に崩す。クローズドガードでもオープンガード系でもとりあえず前に崩すプレッシャーを掛け続ける。
3.アタック。止めて、プレッシャーをかけて崩せるくらいになってきたら、相手のミスも増える。そこにアタックを仕掛ける。アタックを意識しながら1,2をやれば自然にアタックのチャンスが見えてくるから、そこに仕掛ける。
とりあえずこの手順に則って練習してみようと思う。
ジムでも手足の長い白帯に先生や先輩が「君、スパイダーガード向いてると思うよ」なんてアドバイスするのを聞いたことがあると思う。
相手の腕をキックして距離を取るスパイダーガード。
しっかり足を当てられるとなかなか厄介で、外してパスするのは大変だ。
このスパイダーガード、上記のようなアドバイスがしばしば聞かれることから、短足な私は苦手意識をもっていたのだけど、どうも短足のためのスパイダーガードがある気がしてきた。
もう一種のスパイダーガードとしてまず頭に浮かぶのが、おそらくラッソーガードだろう。足を相手の腕に巻き付けるようにして固定し、スイープする。
ただスパイダーガードよりセットアップが難しいし、スイープできなければ相手を止めるだけで終わってしまう。
そのスパイダーガードに至る手前のステップが、意外にスパイダーガードとして効果的だ。
ラッソーほど巻くわけではなく、外踝をちょっと相手の肘や手首に乗せるような感じ。
上腕二頭筋に足裏を当てる通常のスパイダーが相手を蹴り放すのに対し、外側から肘上に足をちょこんと乗っける外掛けスパイダーは、足の重さで相手を崩すのに適している気がする。
実際にやってみるとなかなか使い勝手が良いし、外掛けスパイダーで十分崩してからラッソーに入った方がスイープもしやすい。何より短足の強みである足の重みを活かすことができる。
ガードの上達は次の3ステップであるように思う。
1.止める。まずはガードでパスする相手を止められるようにする。展開によっては他のガードに移行したとしても、積極的に練習中のガードを使い、相手のアタックを止める。
2.プレッシャーをかける。そこそこ止められるようになってきたら、相手へのプレッシャーを意識する。具体的には前に崩す。クローズドガードでもオープンガード系でもとりあえず前に崩すプレッシャーを掛け続ける。
3.アタック。止めて、プレッシャーをかけて崩せるくらいになってきたら、相手のミスも増える。そこにアタックを仕掛ける。アタックを意識しながら1,2をやれば自然にアタックのチャンスが見えてくるから、そこに仕掛ける。
とりあえずこの手順に則って練習してみようと思う。
2019年2月18日月曜日
Xガード考
たまたまなのか、僕の周りにはXガードを使う人が多い。
別に統計をとったわけではないけど、Xガードからのスイープをよく食らう。
やられた技は覚える。
ただXガードの使い勝手については正直、よく分からなかった。スイープの数が多いわけじゃないし。担いで立つか、後ろに倒すか、くらいじゃない。まあ細かくみればたくさんあるし、奥が深いのだけど。
でも光速タップを信条とする程度のおっさん青帯であれば、そこまで追求する必要もない。
あれこれ研究してわかったのは、Xガードに入れるガードポジションが多い、ということ。
いくつものガードポジションからXガードを経由することで、スイープにつなぐ展開を作ることができる。つまりXガードのスイープが使えれば、Xガードにつながる全ガードポジションからのアタックが増えるのだ。
Xガードに直結するガードポジションはだいたいこんな感じか。
・デラヒーバ
・スパイラル(リバースデラヒーバ)
・クオーターガード
・バタフライガード
・シントゥシンガード
・ニーシールドハーフ
・シングルX
またXガードからシングルXにも連携しやすい。ということはシングルXからのスイープもできればスイープの幅がシステマチックに広がることになる。
ただ例えば同じ左足に絡むのでも、デラヒーバとスパイラルではXガードの組み方が逆になる。だからXガードの打ち込みは左右両方できるようにしておいた方がいい。
そう考えると打ち込んでスムーズにできるようにしておくべき動作が見えてくる。
◯ポジションの変化
・デラヒーバから→Xガードへの変化
・スパイラル→Xガードへの変化
・クオーターガード→Xガードへの変化
・バタフライガード→Xガードへの変化
・シントゥシンガード→Xガードへの変化
・ニーシールドハーフ→Xガードへの変化
・シングルXからXガードへの変化
…これらは理論的に逆もできるはず。例えばデラヒーバからXガードに移行したものの対応されたらするデラヒーバに戻っても良い。するとデラヒーバ→Xガード→デラヒーバという反復打ち込みも可能だ。
またXガードをハブにすることで、デラヒーバ→Xガード→スパイラルみたいな組み合わせができる。Xガードに直結するガードポジションを上記6種類とした場合、Xガードを経由して2種のガードをつなぐ展開は計算上30種類になる。
◯スイープ
・Xガードからスイープ…肩に担いで立つやつ。
・Xガードからのスイープ…後ろに倒すやつ。
こうしてみるとXガードを一つ導入するだけで、ガードポジションにかなり展開の幅が生まれることがわかる。
ガードポジションは足で相手の上半身を制するか、下半身を制するかで2種に大別できる。
上半身系の代表はスパイダーや巻きスパイダーなど。
対してXガードやそれにつながるガードポジションは全て下半身系だ。
上半身系と下半身系のどちらを好むかは個人差があるだろう。いわゆるスパイダー使いは上半身派といえる。
Xガードは下半身系のガードポジションを好きな人に展開の幅を与えてくれる。
自分は全然使わないのでわからないのだけど、ワームガードや最近流行りのウェイターガードなんかも含めたらさらに可能性が広がるのだろう。下半身系のガードポジションを得意としている人でもしまだXガードを身に着けてないなら、次のオープンマットの時間にでも先輩にやり方を教わったらいいんじゃないかと思う。
別に統計をとったわけではないけど、Xガードからのスイープをよく食らう。
やられた技は覚える。
ただXガードの使い勝手については正直、よく分からなかった。スイープの数が多いわけじゃないし。担いで立つか、後ろに倒すか、くらいじゃない。まあ細かくみればたくさんあるし、奥が深いのだけど。
でも光速タップを信条とする程度のおっさん青帯であれば、そこまで追求する必要もない。
あれこれ研究してわかったのは、Xガードに入れるガードポジションが多い、ということ。
いくつものガードポジションからXガードを経由することで、スイープにつなぐ展開を作ることができる。つまりXガードのスイープが使えれば、Xガードにつながる全ガードポジションからのアタックが増えるのだ。
Xガードに直結するガードポジションはだいたいこんな感じか。
・デラヒーバ
・スパイラル(リバースデラヒーバ)
・クオーターガード
・バタフライガード
・シントゥシンガード
・ニーシールドハーフ
・シングルX
またXガードからシングルXにも連携しやすい。ということはシングルXからのスイープもできればスイープの幅がシステマチックに広がることになる。
ただ例えば同じ左足に絡むのでも、デラヒーバとスパイラルではXガードの組み方が逆になる。だからXガードの打ち込みは左右両方できるようにしておいた方がいい。
そう考えると打ち込んでスムーズにできるようにしておくべき動作が見えてくる。
◯ポジションの変化
・デラヒーバから→Xガードへの変化
・スパイラル→Xガードへの変化
・クオーターガード→Xガードへの変化
・バタフライガード→Xガードへの変化
・シントゥシンガード→Xガードへの変化
・ニーシールドハーフ→Xガードへの変化
・シングルXからXガードへの変化
…これらは理論的に逆もできるはず。例えばデラヒーバからXガードに移行したものの対応されたらするデラヒーバに戻っても良い。するとデラヒーバ→Xガード→デラヒーバという反復打ち込みも可能だ。
またXガードをハブにすることで、デラヒーバ→Xガード→スパイラルみたいな組み合わせができる。Xガードに直結するガードポジションを上記6種類とした場合、Xガードを経由して2種のガードをつなぐ展開は計算上30種類になる。
◯スイープ
・Xガードからスイープ…肩に担いで立つやつ。
・Xガードからのスイープ…後ろに倒すやつ。
こうしてみるとXガードを一つ導入するだけで、ガードポジションにかなり展開の幅が生まれることがわかる。
ガードポジションは足で相手の上半身を制するか、下半身を制するかで2種に大別できる。
上半身系の代表はスパイダーや巻きスパイダーなど。
対してXガードやそれにつながるガードポジションは全て下半身系だ。
上半身系と下半身系のどちらを好むかは個人差があるだろう。いわゆるスパイダー使いは上半身派といえる。
Xガードは下半身系のガードポジションを好きな人に展開の幅を与えてくれる。
自分は全然使わないのでわからないのだけど、ワームガードや最近流行りのウェイターガードなんかも含めたらさらに可能性が広がるのだろう。下半身系のガードポジションを得意としている人でもしまだXガードを身に着けてないなら、次のオープンマットの時間にでも先輩にやり方を教わったらいいんじゃないかと思う。
技を構成するMust条件とShould条件
BJJは技が多い。
めっちゃ多い。あまりの技の多さに右往左往しっぱなしだ。それでももがいているうちに身についたのは「ディテールに拘りすぎない」ということ。ざっくりと技の原理を理解して、それをスパーで試す。どうもうまくいかなかったらディテールを確認する。
ただ本とかドリルだと技の手順を紹介するから、どのステップが大事で、どれが大事でない、ということが分からない。まあ全部大事だって言ってしまえばそれまでだけど、大事な中にも順序があるはずなので。
技を構成する要素には、主に2つある。
一つは「そもそもこれを外したら絶対に技が成立しない」もの。
もう一つは「技を成立させるために必要なもの」
こう書くとわかりにくいけど、前者が「Must(〜でなければならない)」なのに対して後者「Should(〜であるべきだ)」という違いと言えようか。
例えば三角絞めなら、足を三角に組んで相手の腕と首を絞めなければそもそも成立しない(Must)。でもこれだけではだいたい不十分で三角絞めを成立ための要素、例えば「後頭部を抱えて引きつける」「腕を流す」といった「Should」条件が加わる。
このMust条件とShould条件を同列に捉えると、単に覚えることが増える。それは記憶力が減退しつつあるおっさん柔術家には難しい。またいつまでも教わったのを覚えるばかりでは、自分なりにカスタマイズするレベルにも達しない。
中井祐樹先生は「新・バイタル柔術」において、柔術とは自分なりの技をクリエイトすることができると仰っている。
強い黒帯とかみててもやっぱり自分なりに技を作ったり、カスタマイズしたりしている。自分のものにしているから、強い。
でもだからって、闇雲に技を作るばかりでは基本が疎かになってかえって遠回りになってしまうかも知れない。今の柔術家は中井先生らレジェンド世代とは情報量で圧倒的に違いがある。これを役立てなくてはいけない。でもこれは情報量に埋もれてしまうという諸刃の刃でもある。日々新たな技が生み出されている今、追いかけているだけで終わってしまてはいつまで経っても自分の柔術を作ることなどできない。
情報量に振り回されず、いかに活用して自分の柔術をクリエイトしていくか。
その思考訓練として、学んだ技から「Must条件」と「Should条件」を抽出するのがいいんじゃないかと思う。それで「Must条件」を骨格として、「Shoule条件」を自分にあわせてカスタマイズしていくのだ。
この観点で技術本や動画を見比べてみると面白い。
同じ技、つまり「Must条件」は同じでも「Should条件」が人によって異なっていたりする。また先生によって異なることを言ってるようでも、「Must条件」は共通していたりする。
こうやって技の分析をする。体で試す。だめなら「Should条件」を見直してみる。
そういう工夫ができるのが、BJJのおもしろいところだ。
めっちゃ多い。あまりの技の多さに右往左往しっぱなしだ。それでももがいているうちに身についたのは「ディテールに拘りすぎない」ということ。ざっくりと技の原理を理解して、それをスパーで試す。どうもうまくいかなかったらディテールを確認する。
ただ本とかドリルだと技の手順を紹介するから、どのステップが大事で、どれが大事でない、ということが分からない。まあ全部大事だって言ってしまえばそれまでだけど、大事な中にも順序があるはずなので。
技を構成する要素には、主に2つある。
一つは「そもそもこれを外したら絶対に技が成立しない」もの。
もう一つは「技を成立させるために必要なもの」
こう書くとわかりにくいけど、前者が「Must(〜でなければならない)」なのに対して後者「Should(〜であるべきだ)」という違いと言えようか。
例えば三角絞めなら、足を三角に組んで相手の腕と首を絞めなければそもそも成立しない(Must)。でもこれだけではだいたい不十分で三角絞めを成立ための要素、例えば「後頭部を抱えて引きつける」「腕を流す」といった「Should」条件が加わる。
このMust条件とShould条件を同列に捉えると、単に覚えることが増える。それは記憶力が減退しつつあるおっさん柔術家には難しい。またいつまでも教わったのを覚えるばかりでは、自分なりにカスタマイズするレベルにも達しない。
中井祐樹先生は「新・バイタル柔術」において、柔術とは自分なりの技をクリエイトすることができると仰っている。
強い黒帯とかみててもやっぱり自分なりに技を作ったり、カスタマイズしたりしている。自分のものにしているから、強い。
でもだからって、闇雲に技を作るばかりでは基本が疎かになってかえって遠回りになってしまうかも知れない。今の柔術家は中井先生らレジェンド世代とは情報量で圧倒的に違いがある。これを役立てなくてはいけない。でもこれは情報量に埋もれてしまうという諸刃の刃でもある。日々新たな技が生み出されている今、追いかけているだけで終わってしまてはいつまで経っても自分の柔術を作ることなどできない。
情報量に振り回されず、いかに活用して自分の柔術をクリエイトしていくか。
その思考訓練として、学んだ技から「Must条件」と「Should条件」を抽出するのがいいんじゃないかと思う。それで「Must条件」を骨格として、「Shoule条件」を自分にあわせてカスタマイズしていくのだ。
この観点で技術本や動画を見比べてみると面白い。
同じ技、つまり「Must条件」は同じでも「Should条件」が人によって異なっていたりする。また先生によって異なることを言ってるようでも、「Must条件」は共通していたりする。
こうやって技の分析をする。体で試す。だめなら「Should条件」を見直してみる。
そういう工夫ができるのが、BJJのおもしろいところだ。
2019年2月6日水曜日
続けていれば必ず勝てる後ろ向きな理由
試合に出るべきタイミング。
間違いなく、「出たい」と思ったときじゃないかと思う。
周りの人が出るから、先生に勧められたから。
そういう理由ももちろんアリだ。試合は出ること自体に価値がある。
安くない参加費払って、体重気にして、対戦相手の情報をググったり、イメトレしたり、もちろん普段の練習にも熱が入ったりしながら、当日を迎えてマットに立ち、「コンバッチ!」の声を聞く。
そして戦い抜いて「バロウ!」の掛け声とともに試合を終え、勝敗が決まり、相手と握手して分かれる。
そんなこと別にやらなくたっていい。なのにやってしまう。そこに価値があると思う。
だからどんな結果であれ、マットに立った人は等しく評価されるべきだ。
なにせやらなくてもいい苦労を、わざわざ買っているのだから。
できることなら負けたくないというのが参加者全員の本音だろう。
柔術には、勝つ確率を限りなくあげる方法がある。
それは当たり前だけど練習すること。スパーやって技を覚えて、研究して、余力があればフィジカルもやって。そうやって実力を高めていけば必ず強くなる。
そして練習を続けること。練習を続ければ必ず勝てる。なぜなら長期間続けていれば自分の実力があがり、なおかつ同階級の強い選手が昇帯してしまうからだ。
試合に出て勝てそうになければ、練習をしっかり継続すればいい。すると茶帯までなら強い選手は必ずいなくなる。だから試合前にだけ根を詰めてがっつり練習するのではなく、日々の練習をしっかり継続すること。怪我をして休むことなく、極めがヤバそうなら超光速でタップする。
そうやって練習を積む。そうやって虎視眈々と強いやつがいなくなるのを待つ。そうやっていけば限りなく勝つ確率を高められるし、いずれ勝てる。そして自分が強いやつになる。
後ろ向きかも知れないけれど、これもまた勝つための戦略だと思う。
間違いなく、「出たい」と思ったときじゃないかと思う。
周りの人が出るから、先生に勧められたから。
そういう理由ももちろんアリだ。試合は出ること自体に価値がある。
安くない参加費払って、体重気にして、対戦相手の情報をググったり、イメトレしたり、もちろん普段の練習にも熱が入ったりしながら、当日を迎えてマットに立ち、「コンバッチ!」の声を聞く。
そして戦い抜いて「バロウ!」の掛け声とともに試合を終え、勝敗が決まり、相手と握手して分かれる。
そんなこと別にやらなくたっていい。なのにやってしまう。そこに価値があると思う。
だからどんな結果であれ、マットに立った人は等しく評価されるべきだ。
なにせやらなくてもいい苦労を、わざわざ買っているのだから。
できることなら負けたくないというのが参加者全員の本音だろう。
柔術には、勝つ確率を限りなくあげる方法がある。
それは当たり前だけど練習すること。スパーやって技を覚えて、研究して、余力があればフィジカルもやって。そうやって実力を高めていけば必ず強くなる。
そして練習を続けること。練習を続ければ必ず勝てる。なぜなら長期間続けていれば自分の実力があがり、なおかつ同階級の強い選手が昇帯してしまうからだ。
試合に出て勝てそうになければ、練習をしっかり継続すればいい。すると茶帯までなら強い選手は必ずいなくなる。だから試合前にだけ根を詰めてがっつり練習するのではなく、日々の練習をしっかり継続すること。怪我をして休むことなく、極めがヤバそうなら超光速でタップする。
そうやって練習を積む。そうやって虎視眈々と強いやつがいなくなるのを待つ。そうやっていけば限りなく勝つ確率を高められるし、いずれ勝てる。そして自分が強いやつになる。
後ろ向きかも知れないけれど、これもまた勝つための戦略だと思う。
2019年1月18日金曜日
オールドスクール柔術ってなによ
モダン柔術がドラクエ3のアレフガルドなら、オールドスクールが表の世界である。
昔はオールドスクールしかなかった。でもみんなパスがうまくなりすぎて誰もパスさせてくれなくなったので、モダン柔術が生まれた。そんなことが「中井祐樹の新バイタル柔術」には書いてある。
ではオールドスクールとはなにか。
まあこれはパスガードして抑え込んで極める柔術だろう。
現時点ではクラシカルな感もするデラヒーバガードも、リバースデラヒーバもかつてはなかった。たぶんスパイダーとかも発達してなくて、ハーフガードの攻防もない。
パスガードする。クローズドガードに閉じ込めて攻める。
そういう攻防が今よりずっと多かったのではないだろうか。そもそも引き込みってなんだ。自分から下に行くという駆け引きもほんとうの初期にはなかったんじゃないかと思う。倒して、パスして、抑えて、極める。そういう競い合いだったのだろう。
で、ガードポジションが増えて、パスガードの技術も進化した。
でも「足を超える」というパスガードの基本が崩れることはなかった。それがオールドスクールなのだろう。
僕はリアルタイムで体験してないので噂で聞く程度だけど、ベリンボロが出た頃はたいそう衝撃的だったらしい。
それはおそらく、それまでみんなが散々苦労してきた「足を超える」という前提を、ごっそりひっくり返してしまったからじゃないかと思う。
そう思うと、昔と今とでは技の数が全然違う。
たぶん今、青帯の僕でさえ知っている技の数だけでいえば20年前の茶帯とか黒帯とかとそんなに変わらないんじゃないかって気がしてくる。使えるかどうかはともかくとして。
いま、その世代の人達はレジェンド世代みたいになってるけど、今も残ってる人たちはみんな強いよね。最新の技もちゃんと知っている。それはおそらく、クラシカルがモダンのベースにあるからだろう。
最新のモダンをやるには、やはりクラシカルの素養が役立つ。根本的な柔術力となるんじゃないか。
という仮説を拠り所に、今日もクラシカルな技の練習に励む。
ってかモダンな技ぜんぜんできないんだもの。いまはまだ。
昔はオールドスクールしかなかった。でもみんなパスがうまくなりすぎて誰もパスさせてくれなくなったので、モダン柔術が生まれた。そんなことが「中井祐樹の新バイタル柔術」には書いてある。
ではオールドスクールとはなにか。
まあこれはパスガードして抑え込んで極める柔術だろう。
現時点ではクラシカルな感もするデラヒーバガードも、リバースデラヒーバもかつてはなかった。たぶんスパイダーとかも発達してなくて、ハーフガードの攻防もない。
パスガードする。クローズドガードに閉じ込めて攻める。
そういう攻防が今よりずっと多かったのではないだろうか。そもそも引き込みってなんだ。自分から下に行くという駆け引きもほんとうの初期にはなかったんじゃないかと思う。倒して、パスして、抑えて、極める。そういう競い合いだったのだろう。
で、ガードポジションが増えて、パスガードの技術も進化した。
でも「足を超える」というパスガードの基本が崩れることはなかった。それがオールドスクールなのだろう。
僕はリアルタイムで体験してないので噂で聞く程度だけど、ベリンボロが出た頃はたいそう衝撃的だったらしい。
それはおそらく、それまでみんなが散々苦労してきた「足を超える」という前提を、ごっそりひっくり返してしまったからじゃないかと思う。
そう思うと、昔と今とでは技の数が全然違う。
たぶん今、青帯の僕でさえ知っている技の数だけでいえば20年前の茶帯とか黒帯とかとそんなに変わらないんじゃないかって気がしてくる。使えるかどうかはともかくとして。
いま、その世代の人達はレジェンド世代みたいになってるけど、今も残ってる人たちはみんな強いよね。最新の技もちゃんと知っている。それはおそらく、クラシカルがモダンのベースにあるからだろう。
最新のモダンをやるには、やはりクラシカルの素養が役立つ。根本的な柔術力となるんじゃないか。
という仮説を拠り所に、今日もクラシカルな技の練習に励む。
ってかモダンな技ぜんぜんできないんだもの。いまはまだ。
2019年1月16日水曜日
ざっくりモダン柔術ってこんな感じですか
おっさん柔術家の頭を悩ますもの。
それはモダン柔術。
青帯と言えば、ようやっとスパイダーやらデラヒーバやらオープンガード系を覚えて、ぼちぼち使い始める頃合いだと思う。何か得意技が見つかって、それを武器に勝ち上がれるようになれば、まあ青も卒業って感じなんだろう。
そんなよちよち歩きのおっさん柔術家の天敵が、モダン柔術である。
若もんがくるくる回る。いつの間にかにバックを取られる。どこからどうするとそのポジションにいけるの? とスパーのたびに混乱である。
そんなおっさん柔術家であるが、やはり目に物を見せてやりたい。この少子高齢化社会でお荷物扱いされないためにも若モンたちに「おっさん、やべえ」と思わせたい。
すると当然、モダン柔術の対策を練らなくてはいけない。
対策を練るからには、まずそれについて知らなければならない。
ということでスパーでくらった技をあれこれ調べてみたら、ようはだいたい次の技を駆使する柔術をモダン柔術というらしい、ということがわかる。
・ベリンボロ
・レッグドラッグ
・ツイスターフック
・50/50
人によっては普通のパスガードとか全然練習しないで、これだけで勝ち進める人もいるという。
こうやって要素を抽出できたら、これらの技の組み合わせで主だったテクニックは成立しているのだろうと推測できる。
ベリンボロなら「ベリンボロがそのまま成功」「ベリンボロからレッグドラッグへ変化」「ベリンボロからツイスターフックへ変化」「ベリンボロから50/50に変化」といった感じだ。この要領で一通り組み合わせを洗い出し、その中から現実的なものを抽出すれば、なんとなくモダン柔術の輪郭みたいなものがみえてくるんじゃないかと思う。
こうしてみると、モダン柔術というのは、ドラクエ3でいうところのアレフガルドのような感じがする。
表の世界をあらかた制覇すると現れる裏の世界。
マップは表の世界より小さめ。でも強敵がうじゃうじゃいる。
仰向けの相手の足をどう乗り越えるか。それがパスガードであり、表の柔術。クラシカル柔術。
一方のモダン柔術、裏の柔術は足を乗り越えず脇をすり抜けてバックを狙う。
ってかもう何回バック取られたかわからないよ。なんとかベリンボロ止めても、レッグドラックとか50/50とかですぐ上を取られちゃうのだもの。
でもまあ、やられるたびにちょっとずつデータが蓄積した。ちまちま練習して、考えて、くるくる回れるおっさんになろう。
それはモダン柔術。
青帯と言えば、ようやっとスパイダーやらデラヒーバやらオープンガード系を覚えて、ぼちぼち使い始める頃合いだと思う。何か得意技が見つかって、それを武器に勝ち上がれるようになれば、まあ青も卒業って感じなんだろう。
そんなよちよち歩きのおっさん柔術家の天敵が、モダン柔術である。
若もんがくるくる回る。いつの間にかにバックを取られる。どこからどうするとそのポジションにいけるの? とスパーのたびに混乱である。
そんなおっさん柔術家であるが、やはり目に物を見せてやりたい。この少子高齢化社会でお荷物扱いされないためにも若モンたちに「おっさん、やべえ」と思わせたい。
すると当然、モダン柔術の対策を練らなくてはいけない。
対策を練るからには、まずそれについて知らなければならない。
ということでスパーでくらった技をあれこれ調べてみたら、ようはだいたい次の技を駆使する柔術をモダン柔術というらしい、ということがわかる。
・ベリンボロ
・レッグドラッグ
・ツイスターフック
・50/50
人によっては普通のパスガードとか全然練習しないで、これだけで勝ち進める人もいるという。
こうやって要素を抽出できたら、これらの技の組み合わせで主だったテクニックは成立しているのだろうと推測できる。
ベリンボロなら「ベリンボロがそのまま成功」「ベリンボロからレッグドラッグへ変化」「ベリンボロからツイスターフックへ変化」「ベリンボロから50/50に変化」といった感じだ。この要領で一通り組み合わせを洗い出し、その中から現実的なものを抽出すれば、なんとなくモダン柔術の輪郭みたいなものがみえてくるんじゃないかと思う。
こうしてみると、モダン柔術というのは、ドラクエ3でいうところのアレフガルドのような感じがする。
表の世界をあらかた制覇すると現れる裏の世界。
マップは表の世界より小さめ。でも強敵がうじゃうじゃいる。
仰向けの相手の足をどう乗り越えるか。それがパスガードであり、表の柔術。クラシカル柔術。
一方のモダン柔術、裏の柔術は足を乗り越えず脇をすり抜けてバックを狙う。
ってかもう何回バック取られたかわからないよ。なんとかベリンボロ止めても、レッグドラックとか50/50とかですぐ上を取られちゃうのだもの。
でもまあ、やられるたびにちょっとずつデータが蓄積した。ちまちま練習して、考えて、くるくる回れるおっさんになろう。
2019年1月3日木曜日
立ち技は2☓2
BJJの試合は立って向かい合ったところから始める。
スパーはジムによって座って始めるところと、立って始めるところがあるらしい。同じジムでも最初からトップとボトムを決めてスパーを始めるところがあるようだ。これらはどうも人口密度的な事情のようだ。比較的スペースを広く使えるところは立ってはじめて、手狭なところは座って、あるいは片方が座って始める。まあ立ち技をどの程度重視するか、という指導者の方針にもよるのだろう。
柔術の練習はもっぱら寝技が主になるけど、試合もスパーも立って始める。
最初にまずまごつくのが、開始直後の展開だ。
そもそもどうしたら良いのか分からない。何をどう掴んだらいいのか、足を使ったら良いのか。先輩の様子をみてもいきなり座ったり、引き込んだり。引き込みにしてもテイクダウンにしてもいろいろあるうえ、それぞれどんな意味があるのか分からない。
その点、やはり「中井祐樹の新バイタル柔術
」はよくしたもので、「テイクダウン」と「引き込み」の2系統にざっくり分けてくれている。
要は相手を倒すか、自分から下になるか、という2択になるのだと。
言われてみると当たり前のことだけど、こう断言してもらえると頭の中がかなり整理しやるくなる。
で、引き込みはその後の展開とセットになるので、自分が仕掛けようと思っているガードポジションによって、引き込み方も変化する。よって使えるガードポジションが増えれば引き込み方も増えるし、偶発的な引き込みでもそこから手持ちのガードポジションに変化しやすくなる。
ただテイクダウンに関しては、ずいぶん選択の幅が限られる気がする。
なぜなら柔道を子どもの頃からやってました、という例でもない限り腰に背負投系の技は身につかない。練習に長大な年月を要するうえ、おっさんになってから始めた身としては練習中に怪我のリスクも高い。さらに距離を取られたり襟を取られたりすると簡単に封じられてしまうという弱点もある。その割に柔術的には2ポイントにしかならない。ただ開始しょっぱなに2ポイントを奪えるのは点数以上に精神的な効果がでかい。5分なら5分を最初から優位に進められるからだ。また立ち技の練習によって、容易に投げられなくなるという面もある。だから柔術における投げ技のメリット、デメリットを整理するとこんな感じになる。
◯メリット
・最初の2点をとれる可能性が高まる。
・最初の2点によって精神的な優位に立てる。
・投げ技の練習によって、投げ技への耐性が身につく。
◯デメリット
・習得に手間と時間がかかる。
・めっちゃ疲れる。
・練習中に怪我をする可能性が高い。
・2点しか取れない。
・頑張って習得しても簡単に封じられる。
こう比較するとデメリットのほうがでかいのが一目瞭然である。
特に大人になってから柔術を始める場合、時間も体力も限られている。投げ技に使う分の労力を、寝技に費やした方が安全に少ないコストで勝てるようになるはずだ。
そう考えて寝技の練習時間がどんどん増えていく。それは合理的な選択と言える。
ただゲーム理論を導入するとちょっと事情が変わってくる。
大多数が合理的な選択をするのなら、その大多数の裏をかく戦略が効果的ということになる。7割の人がパーを出してくると分かってるなら、チョキを出す練習をしておけば7割の確率で勝てる。そういう発想だ。
その意味ではやはり立ち技を強化した方がいい。
でも背負い投げなど柔道ライクな投げ技は難易度が高いわりに効果が低いため、自然とレスリング式のタックルが有効なことになる。吉田沙保里ばりの無拍子タックルは無理だとしても、そこそこタックルっぽい攻撃ならちょっと練習すれば誰でもできるようになる。これをカードとして持っているだけも、立ち技からの選択肢が大きく広がる。なぜならテイクダウンという大きなカードが手に入るからだ。
「中井祐樹の新バイタル柔術
」にある通り、立ち技はテイクダウンと引き込みの2系統に分岐する。引き込み一辺倒だった人にテイクダウンが加われば、選択肢はざっくり4倍になる。なぜならそれまでは「いきなり引き込み」しかカードが無かったのに対し、「いきなりテイクダウン」「引き込みにみせてテイクダウン」「テイクダウンにみせて引き込み」という3つのカードが加わるからだ。
すると相手は4倍、展開を読みにくくなる。つまり4倍優位にゲームの序盤を制することができる。
かなりざっくりとした計算だけど、立ち技で「テイクダウン」と「引き込み」の両方を持っておいた方がいいのは間違いない。
投げ技をのぞいてもテイクダウンにはいろいろとある。
タックルもいいし、アームドラッグやダッグアンダーでバックをとっても良い。または踵をとってアンクルピックでも良い。あと忘れてはいけないのは、必ずしも倒す必要はない、ということ。IBJJFルールでは相手が四つん這いの体勢になればボトムになったとみなされる。相手の奥襟を掴んで引き倒し、パーテルポジションで固定したままキープすれば、それでテイクダウンの2点が入る。
そう考えると投げ技抜きでもいろいろできることはある。いろいろスパーで試して、なんだかしっくり来るものを磨き上げよう。
スパーはジムによって座って始めるところと、立って始めるところがあるらしい。同じジムでも最初からトップとボトムを決めてスパーを始めるところがあるようだ。これらはどうも人口密度的な事情のようだ。比較的スペースを広く使えるところは立ってはじめて、手狭なところは座って、あるいは片方が座って始める。まあ立ち技をどの程度重視するか、という指導者の方針にもよるのだろう。
柔術の練習はもっぱら寝技が主になるけど、試合もスパーも立って始める。
最初にまずまごつくのが、開始直後の展開だ。
そもそもどうしたら良いのか分からない。何をどう掴んだらいいのか、足を使ったら良いのか。先輩の様子をみてもいきなり座ったり、引き込んだり。引き込みにしてもテイクダウンにしてもいろいろあるうえ、それぞれどんな意味があるのか分からない。
その点、やはり「中井祐樹の新バイタル柔術
要は相手を倒すか、自分から下になるか、という2択になるのだと。
言われてみると当たり前のことだけど、こう断言してもらえると頭の中がかなり整理しやるくなる。
で、引き込みはその後の展開とセットになるので、自分が仕掛けようと思っているガードポジションによって、引き込み方も変化する。よって使えるガードポジションが増えれば引き込み方も増えるし、偶発的な引き込みでもそこから手持ちのガードポジションに変化しやすくなる。
ただテイクダウンに関しては、ずいぶん選択の幅が限られる気がする。
なぜなら柔道を子どもの頃からやってました、という例でもない限り腰に背負投系の技は身につかない。練習に長大な年月を要するうえ、おっさんになってから始めた身としては練習中に怪我のリスクも高い。さらに距離を取られたり襟を取られたりすると簡単に封じられてしまうという弱点もある。その割に柔術的には2ポイントにしかならない。ただ開始しょっぱなに2ポイントを奪えるのは点数以上に精神的な効果がでかい。5分なら5分を最初から優位に進められるからだ。また立ち技の練習によって、容易に投げられなくなるという面もある。だから柔術における投げ技のメリット、デメリットを整理するとこんな感じになる。
◯メリット
・最初の2点をとれる可能性が高まる。
・最初の2点によって精神的な優位に立てる。
・投げ技の練習によって、投げ技への耐性が身につく。
◯デメリット
・習得に手間と時間がかかる。
・めっちゃ疲れる。
・練習中に怪我をする可能性が高い。
・2点しか取れない。
・頑張って習得しても簡単に封じられる。
こう比較するとデメリットのほうがでかいのが一目瞭然である。
特に大人になってから柔術を始める場合、時間も体力も限られている。投げ技に使う分の労力を、寝技に費やした方が安全に少ないコストで勝てるようになるはずだ。
そう考えて寝技の練習時間がどんどん増えていく。それは合理的な選択と言える。
ただゲーム理論を導入するとちょっと事情が変わってくる。
大多数が合理的な選択をするのなら、その大多数の裏をかく戦略が効果的ということになる。7割の人がパーを出してくると分かってるなら、チョキを出す練習をしておけば7割の確率で勝てる。そういう発想だ。
その意味ではやはり立ち技を強化した方がいい。
でも背負い投げなど柔道ライクな投げ技は難易度が高いわりに効果が低いため、自然とレスリング式のタックルが有効なことになる。吉田沙保里ばりの無拍子タックルは無理だとしても、そこそこタックルっぽい攻撃ならちょっと練習すれば誰でもできるようになる。これをカードとして持っているだけも、立ち技からの選択肢が大きく広がる。なぜならテイクダウンという大きなカードが手に入るからだ。
「中井祐樹の新バイタル柔術
すると相手は4倍、展開を読みにくくなる。つまり4倍優位にゲームの序盤を制することができる。
かなりざっくりとした計算だけど、立ち技で「テイクダウン」と「引き込み」の両方を持っておいた方がいいのは間違いない。
投げ技をのぞいてもテイクダウンにはいろいろとある。
タックルもいいし、アームドラッグやダッグアンダーでバックをとっても良い。または踵をとってアンクルピックでも良い。あと忘れてはいけないのは、必ずしも倒す必要はない、ということ。IBJJFルールでは相手が四つん這いの体勢になればボトムになったとみなされる。相手の奥襟を掴んで引き倒し、パーテルポジションで固定したままキープすれば、それでテイクダウンの2点が入る。
そう考えると投げ技抜きでもいろいろできることはある。いろいろスパーで試して、なんだかしっくり来るものを磨き上げよう。
登録:
コメント (Atom)
クラッチをやめた
40過ぎて柔術を始める。 特に柔道やレスリングのような組技系の経験はない。 素人のおっさんである。 青帯をもらったとはいえ、先輩方の壁は高く、後から入る若者に力負けする。 やっぱりレスリングや柔道のベースがある人は強い。みるみるうちに上達して、あっという間に歯が立た...
-
スパイダーガード。 ジムでも手足の長い白帯に先生や先輩が「君、スパイダーガード向いてると思うよ」なんてアドバイスするのを聞いたことがあると思う。 相手の腕をキックして距離を取るスパイダーガード。 しっかり足を当てられるとなかなか厄介で、外してパスするのは大変だ。 この...
-
たまたまなのか、僕の周りにはXガードを使う人が多い。 別に統計をとったわけではないけど、Xガードからのスイープをよく食らう。 やられた技は覚える。 ただXガードの使い勝手については正直、よく分からなかった。スイープの数が多いわけじゃないし。担いで立つか、後ろに倒すか、くら...
-
おっさん柔術家の頭を悩ますもの。 それはモダン柔術。 青帯と言えば、ようやっとスパイダーやらデラヒーバやらオープンガード系を覚えて、ぼちぼち使い始める頃合いだと思う。何か得意技が見つかって、それを武器に勝ち上がれるようになれば、まあ青も卒業って感じなんだろう。 そんなよ...